代替法試験の目的
代替法試験とは、試験に使用する動物の数や負担を減らす、または動物に代わる手法を用いた試験です。
代替法とは、動物実験における削減 (科学的手法においてより少ない動物から同等の情報を得る、もしくは同じ数の動物からより多くの情報を得る)、純化 (痛み、苦痛、不快感を弱めたり、最小限にする) もしくは置き換え (動物を用いない、あるいは系統発生的下位動物を用いる試験法により代替) により動物福祉を向上させるように実験方法を改良することを指します。
近年動物愛護への関心が高まり、動物を用いない各種試験法の開発が積極的に進められてきました。 また、2013年3月より、EUにおいては化粧品およびその原料の安全性評価に動物実験を実施することが禁止されたことにより、 動物実験代替法の必要性が高くなっています。
代替法試験の概要
in vitroでは、培養細胞等を被験物質に一定時間暴露し、状態の変化や細胞の生存率等を計測することで毒性を予測します。
in chemicoでは、タンパク質と被験物質の結合反応を検出し、皮膚感作性を予測する方法等があります。
食品薬品安全センターの代替法試験について
食品薬品安全センターはOECDの国際共同研究への参加や試験方法のバリデート研究などで各種代替法試験のテストガイドライン化に携わっており先進的かつ高品質な代替法試験を提供しています。
お知らせ
2024年7月5日更新
In vitro 皮膚感作性試験法EpiSensA がOECDテストガイドライン(TG)として採択されました (OECD TG442D)
2024年6月25日、OECD TG442Dが発出され、ヒト3次元皮膚モデルを用いたEpiSensAによる皮膚感作評価が可能となりました。
一般財団法人食品薬品安全センターは、日化協LIRの研究助成を受けたバリデーション研究に参画し、本試験法をバリデートすることにより、ガイドライン化に貢献しました。
EpiSensAは花王株式会社により開発された、ヒト3次元培養表皮モデルにおける感作マーカー遺伝子(ATF3, GCLM, DNAJB4, IL-8)の発現を指標としたin vitro 皮膚感作性試験で、疎水性物質に対して高い予測性を有する試験法です。
2023年8月31日更新
In vitro 免疫毒性評価試験法IL-2 Luc Assay がOECDテストガイドライン(TG)として採択されました (OECD TG444A)
2023年7月4日、OECD TG444Aが発出され、in vitroで免疫毒性評価が可能となりました。
一般財団法人食品薬品安全センターは、厚生労働科学研究班に参画し、本試験法をバリデートすることにより、ガイドライン化に貢献しました。
IL-2 Luc Assayは東北大学大学院医学系研究科皮膚科 相場節也名誉教授らが提唱するマルチイムノトックスアッセイ(MITA:Multi-ImmunoToxic Assay)の中の1試験法であり、免疫毒性の有用なスクリーニング法と言われています。
2023年7月6日更新
皮膚感作性試験代替法DPRA (OECDガイドライン442C) の改定:植物エキスのような混合物が評価可能に!
令和5年7月4日、OECD試験法ガイドライン442Cが改定され、皮膚感作性試験代替法DPRA改訂版を用いることにより、植物エキスのような混合物の評価が可能になりました。
この改定にあたり、一般財団法人食品薬品安全センターはOECDの国際共同研究に参加し、方法の改良に貢献しました。